【表1】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー こんなとき、どうしたら? 障害のある人のための 障害者差別解消法ハンドブック 横浜市障害者社会参加推進センター 【表4】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 公益社団法人横浜市身体障害者団体連合会 横浜市障害者社会参加推進センター 〒222-0035 神奈川県横浜市港北区鳥山町1752 障害者スポーツ文化センター横浜ラポール3階 TEL.045-475-2060 FAX.045-475-2064 ※このパンフレットは、横浜市からの委託を受けて作成しています。 2021.12 公式HPはこちらへ http://www.hamashinren.or.jp/ 【P01】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー  障害者差別解消法は、障害のある人への差別をなくし、障害のある人もない人も、互いを尊重し合いながら共に生きる社会(共生社会)を実現していくことを目指してつくられました。  共生社会を実現していくためには、障害のある人もない人も、どのようなことが障害のある人への差別となるのか、どうすれば差別はなくなっていくのかということについて、一緒に考えていくことが大切です。  この事例以外にも、障害のある人が困ったり、こうしてほしいと思うこともたくさんあると思います。事例を参考にして、いろいろな場面に当てはめて考えていただければ幸いです。 この事例集は、障害のある人からの相談等をもとに作成しました。このため、障害者差別解消法に限らず、改正障害者雇用促進法や障害者虐待防止法など関連する事例も取りあげています。 【P02】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 目 次 1 障害者差別解消法について…3 2 事例   【事例 1 】 飲食店での対応…7   【事例 2 】 スーパーでの対応…9   【事例 3 】 福祉施設での対応…11   【事例 4 】 賃貸住宅の申込み…13   【事例 5 】 公共交通機関での対応…15   【事例 6 】 医療機関の受診…17   【事例 7 】 公衆浴場での対応…19   【事例 8 】 スポーツクラブの入会申込み…21   【事例 9 】 人工透析者の就労…23   【事例10】 イベントへの参加申込み…25   【事例11】 学校行事への対応…27 3 障害者差別に関する相談窓口…29 【P03】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 障害者差別解消法は どのような法律ですか? 障害者差別解消法は、役所や民間事業者(会社やお店等)が、 @障害を理由に「不当な差別的取扱い」をしないこと A社会的な障壁(バリア)を取り除いていくために「合理的配慮」を行うことを定めています。 1 不当な差別的取扱の禁止とは? 障害のある人に対して、正当な理由がないのに、障害があるというだけでサービスの提供を拒否することや、障害のない人にはつけない条件をつけたりすることなどが禁止されています。 《不当な差別的取扱の例》 ◎受付での対応を拒否する ◎学校の受験や入学を拒否する ◎アパートを貸さない など 正当な理由とは、誰が聞いても納得できるような、客観的な事実に基づいた理由のことです。サービスの提供を断られた場合などには、どうしてなのか理由を聞くことが大切です。説明に納得できないときは、相談窓口等(29ページ)に相談してみましょう。 【P04】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 2 合理的配慮の提供とは? 事業者等は、障害のある人から手助けを必要としているとの意思が伝えられた場合には、負担が重すぎない範囲で対応することが求められます。合理的配慮を提供しないことも、障害者に対する差別になります。 《合理的配慮の例》 ◎段差がある場合に、スロープを使って補助する ◎絵や写真を使って、分かりやすく伝える ◎目が見えない人に、書類を読んで説明する など 合理的配慮は、障害の特性や具体的な状況に応じて、個別的で多様性があります。合理的配慮の方法は一つではありません。社会のバリアをなくしていくために、建設的な話し合いを通じて、互いに対応の方法を柔軟に工夫していくことが大切です。 【P05】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 3 社会的障壁とは? 障害のある人が生活をしていくうえで様々な制約をもたらす原因となる、社会の中にあるバリアを社会的障壁といいます。 【様々な障壁】 ◎物理的な障壁:移動を妨げる道路や建物の段差など ◎情報等の障壁:字幕のない放送や音声のない交差点信号など ◎制度的な障壁:障害を理由とする資格・試験の欠格事由、入居・入所の制限など ◎意識上の障壁:障害や障害者に対する無理解や誤解に基づく差別や偏見など 4 対象となる障害者は? 障害者差別解消法に書いてある「障害者」とは、障害者手帳を持っている人のことだけではありません。身体・知的・精神に障害のある人(発達障害を含む)、その他の心や体の働きに障害のある人で、その障害や社会的な障壁によって、日常生活や社会生活に相当な制限を受けている人すべてが対象となっています。(障害児も含まれます) 【P06】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 障害は、どこにあるの? 困っている人は、だれ? 一緒に考えてほしいな。 障害の社会モデル 障害のある人が社会生活のなかで感じている生きづらさは、その人の障害だけが原因ではなく、社会のあり方とも深く関わっています。 社会の中にある様々な障壁(バリア)をなくしていくことで、障害のある人の自立と社会参加の機会が広がっていきます。障害者差別解消法にも取り入れられている、こうした考え方を「障害の社会モデル」といいます。 【P07】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 事例1 飲食店での対応 車椅子を使用しているAさんは、レストランに入って案内を待っていましたが、お店のスタッフから、「混んでいるので別の時間に来てほしい」と言われました。でも、前のお客さんも帰ったあとなので、いくつか席は空いているようです。 Aさんの気持ち 席も空いているようなので、案内をしてくれてもいいのに。 別の時間といっても、いつのことかはっきり分からない。 何か、入店を断られたような気がする。 ここがポイント! 相手の話が、自分の気持ちとすれ違うことがありませんか。そんなとき、自分の率直な思いを言葉にして伝えてみましょう。 「何分ぐらい待てば入れますか?」 ※障害のある人の思いを伝えるコミュニケーションの例です。  あなたなら「自分の言葉」でどのように伝えますか。 【P08】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー こんなときのヒント ■障害のある人に対して、正当な理由がないのに、障害があるというだけで、サービスの提供を拒否することや、障害のない人にはつけない条件をつけたりすることは禁止されています。 《飲食店・商店等での不当な差別的取扱の例》 ◎入店や窓口での対応を拒否すること。 ◎対応を後回しにすること。 ◎サービスの提供時間を限定すること。 ◎サービス提供場所を限定すること。 ◎必要な情報提供を行なわないこと。 ◎特に必要がないのに付き添いの同行を求めること。 など ■お店としては、待ち時間を伝えることや予約を受け付けるなどの必要な情報の提供を行うことが求められます。 Aさんからも、来店できる時間をお店に確認するなど、お店の人に一声かけることで、安心して利用することができるようになるかもしれません。 【P09】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 事例2 スーパーでの対応 視覚に障害のあるBさんは、近所のスーパーに買い物に出かけました。店内での案内をしてもらおうと思い、お店のスタッフに声をかけましたが「今日は、ヘルパーさんと一緒ではないのですか」と言われました。 Bさんの気持ち いつも介助者がいるとは限らないのだから、お店の人にサポートをしてほしい時もある。 ここがポイント! 手助けのお願いを遠慮してしまうことはありませんか。ふだんの会話をするように、必要な手助けをお願いしてみませんか。 「おすすめのお惣菜はありますか?」 ※障害のある人の思いを伝えるコミュニケーションの例です。  あなたなら「自分の言葉」でどのように伝えますか。 【P10】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー こんなときのヒント ■事業者は、障害のある人から手助けを必要としているとの意思が伝えられた場合には、負担が重すぎない範囲で対応することが求められます。 【合理的配慮の提供】 《商店等での合理的配慮の例》 ◎商品やパンフレット等の位置を分かりやすく教えること。 ◎高い所におかれた商品やパンフレット等を取って渡すこと。 ◎案内の要望があった場合は目的の場所へ案内すること。 ◎商品の色や形、内容物等について分かりやすく説明する こと。 ◎コミュニケーション手段を工夫すること。  (筆談、読み上げ、手話、手書き文字等) ◎ゆっくり分かりやすい言葉で話すこと。 ◎車椅子使用者と同じ目線で会話をすること。 など ■手助けをお願いするときは、どんな手助けが必要なのかをできるだけ具体的に伝えることが大切です。お互いの気持ちを通い合わせる会話ができるといいですね。 【P11】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 事例3 福祉施設での対応 作業所に通所しているCさんは、動作がゆっくりしていて、自分の気持ちを言葉に表現することが苦手です。作業をしているときにも、担当の職員から「早くしないと、休み時間がなくなるよ」等と周りの人にも聞こえるように大きな声で言われ、途中から作業に入れてもらえないこともあります。 Cさんの気持ち いつも自分だけ怒られているように思う。 優しい職員に代わってほしい。 ここがポイント! 相手の言葉や態度によって、悲しい思いをしたことはありませんか。イヤなことをされたときには、がまんをしないで「やめて」といいましょう。 「おこられるのは、イヤです。」 ※障害のある人の思いを伝えるコミュニケーションの例です。  あなたなら「自分の言葉」でどのように伝えますか。 【P12】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー こんなときのヒント ■障害者への虐待を防ぐための法律として「障害者虐待防止法」があります。この法律は、養護者(家族等)・障害者施設の職員・使用者(雇用者等)による障害者虐待を禁止しています。 ■障害のある人の心や身体を傷つける虐待は、絶対に許すことはできません。障害者本人に虐待をされているという認識があるかどうかは関係ありません。 ■事例は、Cさんの心を傷つける「心理的虐待」の可能性があります。こうした時は「いやだ」「やめて」と言ってください。我慢しなくていいのです。どうしたらいいか分からない時は身近な人に相談してみましょう。また、役所に連絡をして、虐待をなくすよう一緒に考えてもらいましょう。 ■虐待を受けている人や虐待(虐待のおそれ)に気づいた人は、窓口となる市町村障害者虐待防止センターに通報・届出をすることができます。 [横浜市障害者虐待防止センター] 電話. 045(662)0355 FAX. 045(671)3566 【P13】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 事例4 賃貸住宅の申込み 視覚に障害のあるDさんは、転居のため不動産業者を訪ねましたが、対応した担当者から「火事などの心配があるので紹介はできません」と言われました。 Dさんの気持ち これまでも、火災には細心の注意を払ってきたのに。 視覚障害があるということで、物件を紹介できないという説明には納得がいかない。 ここがポイント! 相手の説明に、どこか納得できないときはありませんか。そんな時、もう一度、本当かどうか確かめてみることが大切です。 「本当に、火事は多いのですか?」 「ほかにも理由があるのですか?」 ※障害のある人の思いを伝えるコミュニケーションの例です。  あなたなら「自分の言葉」でどのように伝えますか。 【P14】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー こんなときのヒント ■障害のある人の賃貸住宅への入居に際しては、家賃の滞納や建物の保全に関する不安、災害時の安全確保や近隣住民との関係等を理由に、契約を拒否される事例があります。 《宅地建物取引に関する不当な差別的取扱いの例》 ◎物件の広告等に「障害者お断り」などの表示をすること。 ◎「障害者向けの物件は取り扱っていない」として物件の 紹介を拒むこと。 ◎家主や債務保証会社への交渉等、必要な調整を行なわず に仲介を断ること。 ◎「火災の心配がある」ことなどを理由に仲介を断ること。 ◎一方的に一人暮らしは無理と判断して仲介を断ること。 ◎障害を理由とした誓約書を求めること。 など ■視覚障害のある人が火事を起こしやすいということは、客観的な根拠がありませんので、入居を拒否する「正当な理由」といえません。不動産業者は、入居が不可能な場合には丁寧にその理由を説明することが必要となります。 【P15】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 事例5 公共交通機関での対応 車椅子を使用しているEさんは、バス停でバスを待っていました。バスが到着すると、Eさんの前に並んでいた人は乗車できましたが、Eさんは、次のバスに乗るように言われました。 Eさんの後ろで待っていた人から「まだ乗れるのに…」という、つぶやき声が聞こえてきました。 Eさんの気持ち バスに乗るたびに乗車拒否や迷惑そうな態度をされるので、つらい思いをする。 ここがポイント! 障害があることで同じサービスを受けられないときには、そのことで障害のある人は不利益を受けているのです。 「私にも用事があるので、このバスに乗りたいです」 ※障害のある人の思いを伝えるコミュニケーションの例です。  あなたなら「自分の言葉」でどのように伝えますか。 【P16】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー こんなときのヒント ■公共交通機関(鉄道・バス・タクシー・船舶・航空機等)の利用に際して、正当な理由がなく、障害があることのみを理由として乗車を拒否することは禁止されています。 《公共交通機関での不当な差別的取扱いの例》 ◎身体障害者補助犬(盲導犬・聴導犬・介助犬)を連れている ことを理由として乗車を拒否すること。 ◎車椅子使用者に、混雑する時間帯の利用を避けてほしい と言うこと。 ◎車椅子使用者の乗車を拒否すること。 ◎外見上障害者と思われる人(白杖使用者等)の乗車を拒否 すること。 ◎障害者割引タクシー券の利用や領収書の発行を拒否する こと。 ◎単独での乗船を拒否すること。 ◎航空機の利用に際して診断書の提出を求めること。 など ■事業者等が、利用者の安全確保の必要性や構造上の問題から、やむを得ず利用を制限する場合には、  利用者にていねいに事情を説明することが  求められます。 【P17】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 事例6 医療機関の受診 精神障害のあるFさんは、内科的な疾患で入院が必要になりましたが、診療した医療機関から「病院の個室で、家族による24時間の付添いが必要です」と言われました。 Fさんの家族は、24時間の付添いを行うことが難しいと伝えたところ、別の病院での入院を勧められました。 Fさんと家族の気持ち 内科的な疾患については、精神障害者でも通常の診療をしてほしい。精神障害を理由として、入院に際して特別な条件をつけることは、障害者差別になるのではないか。 ここがポイント! 障害があっても、ほかの人と同じように対応することが原則です。ほかの人にはつけない条件がついていたら、その理由を聞いてみましょう。 「ほかの患者さんも同じですか?」 ※障害のある人の思いを伝えるコミュニケーションの例です。  あなたなら「自分の言葉」でどのように伝えますか。 【P18】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー こんなときのヒント ■医療機関の受診に際して、医療機関が、次のような対応を行うことは、不当な差別的取扱いの可能性があります。 ≪医療機関事業者向けガイドライン≫ ◎人的・設備的体制が整っており対応が可能であるにもか かわらず、障害があることを理由として診療や入院を拒否 すること。 ◎正当な理由なく診察室や病室の制限を行うこと。 ◎医療の提供に際して必要な情報提供を行わないこと。 ◎正当な理由なく、保護者や介助者の同伴を条件とすること。  など ■こうしたガイドラインを踏まえると、医療機関としては、医療的な観点から入院や付添いが必要と判断した場合には、その理由について本人や家族が納得いくよう丁寧に説明する必要があります。 ■Fさんとご家族としては、まずは病院の相談窓口(医療ソーシャルワーカー)等に相談してみてはどうでしょうか。その際には、改めて、お困りの内容を具体的に伝えてください。 【P19】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 事例7 公衆浴場での対応 オストメイト(人工肛門・人工膀胱のある人)のGさんは、ホテルの大浴場に入浴しようとしたところ、「他のお客様が気にされますので、入浴はお部屋の浴室でお願いします」と言われました。 Gさんの気持ち きちんとストーマ袋を装着すれば、においや排泄物が漏れることはないということを知ってほしい。ホテルは、他のお客にもオストメイトの入浴について、理解を求めてほしい。 ここがポイント! スタッフから「困ります」と言われたことはありませんか。でも、本当に困っている人は障害のある人なのです。 「困っているのは、私です。」 「施設や他のお客に、迷惑がかかることはありません」 ※障害のある人の思いを伝えるコミュニケーションの例です。  あなたなら「自分の言葉」でどのように伝えますか。 【P20】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー こんなときのヒント ■厚生労働省の指針では「オストメイト及び入浴着を着用した乳がん患者等についても、衛生上問題ない形で入浴サービスを楽しんでいただくことは可能であり、その点を正しく認識し、適切に対処することが必要である」としています。こうした指針を踏まえると、誤った理解に基づいたホテル側の対応は、不当な差別的取扱いの可能性があると考えられます。 ■オストメイトは、ストーマを自己管理していますので、周囲の人からのお手伝いは必要ありませんが、公衆浴場や温泉等で、ストーマ装具をつけているオストメイトを見かけた際には、障害を理解して見守ってください。 【P21】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 事例8 スポーツクラブの申込み 聴覚障害のあるHさんは、スポーツクラブの入会の申込みに行きましたが、聞こえる人と一緒に来てくれるなら入会できますといわれ、手続きができませんでした。 Hさんの気持ち 聴覚に障害があったとしても、入会の手続きはできると思う。手話ができなくても、コミュニケーションの方法はあるのに。 ここがポイント! 「障害者」というレッテルをはって、一人ひとりの違いが見過ごされてしまうことがあります。 あなたにできること、伝えてみませんか。 「筆談ができます」 ※障害のある人の思いを伝えるコミュニケーションの例です。  あなたなら「自分の言葉」でどのように伝えますか。 【P22】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー こんなときのヒント ■体を動かすことが好き、コーラスに入ってみんなと歌いたい。障害のあるなしにかかわらず、スポーツや文化芸術活動を楽しみたいと思う誰もが、活動に参加できるよう環境を整えていくことが重要です。 《スポーツ・文化活動や余暇活動に関する不当な差別的取扱いの例》 ◎車椅子使用者が、施設上の問題がないのに入場を断ら れること。 ◎聴覚障害者に聞こえる人の同伴を求めること。 ◎遊園地などで、聞こえないことを理由にアトラクション等 への乗車を断ること。 ◎視覚障害者に対して、危険性があることを理由に観光船 の乗船を断ること。 など ■耳の聞こえない人とのコミュニケーションは、手話以外にも筆談や身振りなど様々な方法があります。自分にできることを相手に伝えることで、合理的配慮の幅も広がります。事例では、事業者が、筆談の用具や必要な要件をイラストで示したコミュニケーションボードを用意することなどにより、Hさんとのコミュニケーションを確保できると考えられます。 【P23】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 事例9 人工透析者の就労 民間企業に勤めているIさんは、腎臓機能が低下したため、半年前から人工透析を開始しました。Iさんは、仕事のことも考えて夜間透析を受けていましたが、担当の部署が年度末の多忙な時期をむかえると、透析のためにひとり16時に退社することがつらい状況となりました。 Iさんの気持ち 今の状況では職場の仲間たちに負担をかけてしまう。 透析を続けるためには、会社を辞めなくてはならないのか…。 ここがポイント! 事業者は、障害のある人が働き続けられるよう配慮をしなければなりません。体調管理面や仕事上の困難があるときには、早めに状況を伝えましょう。 「明日、相談の時間がとれますか?」 ※障害のある人の思いを伝えるコミュニケーションの例です。  あなたなら「自分の言葉」でどのように伝えますか。 【P24】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー こんなときのヒント ■障害者の雇用にあたっては、障害者であることを理由に、募集・採用、賃金、配置等での差別を禁止するとともに、事業主は、過重な負担にならない範囲で、障害者が働くうえでの支障を改善するための措置(合理的配慮)を行うことが義務づけられています。 《雇用の分野における内部障害者への合理的配慮の事例》 ◎業務指導や相談に関し、担当者を定めること。 ◎出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること。 ◎本人の負担の程度に応じ、業務量等を調整すること。 ◎本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、 障害の内容や必要な配慮等を説明すること。 など ■合理的配慮は、障害者一人ひとりの状態や職場の状況に応じて、多様であり個別性が高いものです。事業主は、話合いの場を設け、Iさんの障害特性や希望を踏まえて、適切な配慮を行うことが求められます。また、本人のプライバシーに配慮したうえで、同僚職員に説明をするなど、  周囲の環境づくりも必要となります。 【P25】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 事例10 イベントの申込み 聴覚に障害のあるJさんは、ある講演会のチラシを見て、ぜひ参加したいと思いました。講演会に、手話通訳者が配置されるか確認するための質問をFAXで行おうとしましたが、チラシには問合せ先の電話番号しか記載されていませんでした。 Jさんの気持ち 聴覚障害者にとって、FAXは重要なコミュニケーション手段なのに。電話ができない聴覚障害者は、参加者として認められていないように思う。 ここがポイント! 障害があることで気づくことがあります。 「おかしいな」「不便だな」と思ったら、障害者の立場から意見や提案を伝えてみませんか。 「聴覚障害者からの提案です」 ※障害のある人の思いを伝えるコミュニケーションの例です。  あなたなら「自分の言葉」でどのように伝えますか。 【P26】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー こんなときのヒント ■市民の中には、様々な障害のある人がいます。イベント等の主催者は、障害者の参加を前提として実施方法等を検討し、必要な合理的配慮を行うことが求められます。 ■Jさんとしては、電話による問合せが困難な状況ですので、相手のFAX番号やメールアドレスを調べることが必要になりますが、せっかく調べたのですから、質問とあわせて障害者の立場からの意見や提案を行ってみてはいかがでしょうか。  障害のある人からの意見や提案は、事業者にとって業務を改善していくための貴重な情報になります。 ■事例では、FAXによる対応を進めるほか、ホームページでの手続きを可能にするなどのアイデアもありそうです。前向きな提案は、自分だけでなく、他の聴覚障害者の不便を解消することにもつながります。 【環境の整備】 【P27】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 事例11 学校行事での配慮 発達障害のあるKさんは、多くの人が集まる場所が苦手です。自分の周りにたくさんの人がいると、落ち着かなくなり、大きな声を出してしまうこともあります。卒業式の時期が近づいてきましたが、Kさんの家族は、みんなと一緒にKさんの卒業を祝いたいと思っています。 Kさんと家族の気持ち 卒業式は楽しみだけど、知らない人もたくさん来る。いつもとは違う雰囲気のなかで、どうなるか心配。 ここがポイント! 事業を行うときには、準備の段階から障害者やその家族等が参加することが大切です。 「私たち抜きに、私たちのことを決めないで!」がルールです。 「主役は、卒業生です。」 ※障害のある人の思いを伝えるコミュニケーションの例です。  あなたなら「自分の言葉」でどのように伝えますか。 【P28】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー こんなときのヒント ■発達障害があるといっても、障害の種類や程度、年齢や性格等によって、一人ひとりに違いがあります。その人の行動の特徴に応じて、配慮や支援を行うことが求められます。 ■人が多いところや、音や光などの刺激を苦手とする人がいます。学校としては、教職員が一体となって、Kさんの行動の特徴を踏まえ、本人の不安を少なくするための環境づくり(座席の配置・休める場所の確保・行事の流れを分かりやすく伝えること等)に取り組むとともに、行事参加者に対しても障害への理解を深めていくことが大切です。 ■卒業式の主役は、卒業生です。本人や保護者の考えを尊重しながら、学校行事に関わる人それぞれの思いをつないで、大切な卒業式を参加者の心に残るものにしたいですね。 【P29】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 障害者差別に関する相談窓口 相談窓口では、いつ、どこで、どんなことがあったかを具体的に伝えましょう。その時の自分の気持ちや、してほしかったこと等についてもお話をしてください。窓口については次の例を参考にしてください。 ■事業所の担当部署 ■お客様からの相談を受けつける窓口 (例:お客様相談室) ■事業を所管する行政機関(役所) ■人権に関する担当部署 (例:法務局人権擁護課) ■神奈川県弁護士会 法律相談「みまもりダイヤル」 電話 045(211)7720 ※電話が困難な方の問合せ FAX 045(211)6877 ■障害者団体やピア相談員等への相談 同じ障害のある人が、相談した方の気持ちに寄り添ってお話をお聞きします。相談窓口をご案内する等のサポートをします。 電話 045(474)2272 FAX 045(475)2064 相談窓口で解決が困難な場合には、市長に対するあっせんの申出の制度があります。(担当:横浜市健康福祉局障害施策推進課) 電話 045(671)3598 FAX 045(671)3566 【P30】ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 差別かもしれないと思ったら… ●「どうして?」と理由を聞いてみよう! ●「いや」と言う勇気を持とう! ●障害のことを話してみよう! ●つらいときは誰かに相談してみよう! 手助けをお願いしたいときは… ●声をかけよう! ●自分の思いを伝えよう! ●分からないことは聞いてみよう! ●感謝の気持ちを伝えよう!